HIS、労働基準法違反で書類送検?残業時間減少へ / 2017年6月15日

 厚生労働省東京労働局は6月14日、エイチ・アイ・エス(HIS)と同社の管理職2名を書類送検した。HISは1月31日に、労使協定の上限を超える残業による労働基準法違反の疑いで、同局が書類送検する方針を固めたと報じられたことを受け、公式ウェブサイトで謝罪。本誌の取材に対しても、協定で定めた残業時間を超過していた旨を説明していた。日本旅行業協会(JATA)などによれば、旅行会社が過重労働に関して書類送検されるケースは例がないという。

 HIS広報担当によれば、14日に送検されたのは法人としての同社と、トラベルワンダーランド新宿本社および新宿法人団体専門店の管理職各1名。2015年4月から16年3月までの間に、新宿本社のスタッフは最大で月に110時間、法人団体事業部のスタッフは最大で月に135時間、それぞれ残業をしていたといい、同社は16年3月には東京都労働局から指摘を受け、任意で調査に協力。7月には厚生労働省が15年に新設した「過重労働撲滅特別対策班」による強制捜査を受けていた。是正勧告は14年から16年にかけて、5回あったという。

 HISは14日、公式ウェブサイトに「本日の報道について」と題した文書を掲載し、顧客や株主などに謝罪するとともに、今回の書類送検の経緯を改めて説明。16年4月には当時の代表取締役社長だった平林朗氏を委員長にプロジェクトチームを立ち上げて、長時間労働の解消に取り組んできたことについて述べ、「現状では労務管理上の違法状態は解消している」と強調した。

 HIS広報担当によれば、従業員の1月あたりの平均残業時間は15年度の44.5時間から、16年度には30.9時間に減少。17年度については現時点では集計していないが「16年度よりは減っていると考えられる」という。