カメルーンについての渡航情報(危険情報)の発出 / 2014年8月25日


●極北州
 :「退避を勧告します。渡航は延期してください。」(引き上げ)

●中央アフリカ国境地帯
 :「渡航の延期をお勧めします。」(継続)

●北部州、ナイジェリア国境地帯(極北州を除く)、南西州バカシ半島及びバカシ半島沖
 :「渡航の是非を検討してください。」(継続)

●上記を除く地域
 :「十分注意してください。」(継続)
☆詳細については、下記の内容をよくお読みください。

1.概況
(1)カメルーンにおいては、2011年10月に行われた大統領選挙で現職のポール・ビヤ大統領が6期目の再選を果たしました。以後、現在まで国内の政治情勢に絡む治安上の問題は特に発生していません。しかしながら、一般犯罪は依然頻発しており、特に雇用の悪化や物価の上昇等を背景として強盗や窃盗事件が多発しています。この傾向は全国的に見られますが、特に首都ヤウンデ市や最大の人口を抱える商業都市ドゥアラ市において、犯罪発生件数が増加しています。
(2)隣国のチャド、中央アフリカから武装強盗集団が越境してカメルーン国内に侵入しています。特に中央アフリカでは、2013年3月の政変以降、旧反政府勢力セレカの元分子による暴行・略奪が頻発しており、これに反発する一部キリスト教徒の自警団アンチ・バラカによる暴行・略奪も頻発している他、両者の間で激しい戦闘を繰り返しています。こうした事態に伴い、元セレカ分子の一部が国境を越えてカメルーン国内に侵入し、カメルーン治安機関との戦闘による死傷者が出ています。
(3)極北州では、ナイジェリア北部を中心に活動しているイスラム武装組織ボコ・ハラムが勢力を拡大しており、カメルーン国内にも侵入し、2013年以降、ボコ・ハラムの犯行とみられている外国人の拉致事件が連続して発生しています。また、ボコ・ハラムとカメルーン軍との戦闘も断続的に発生しています。こうしたボコ・ハラムの脅威は、北部州にも及ぶおそれがあります。

2.地域情勢
(1)極北州
 :「退避を勧告します。渡航は延期してください。」(引き上げ)
 極北州では、ナイジェリア北東部を拠点とするイスラム武装組織ボコ・ハラムがカメルーンに侵入し、外国人を拉致したり、カメルーン軍を襲撃して大規模な戦闘を繰り広げたりして、数多くの死傷者が出ています。
 2013年2月、極北州のナイジェリア国境付近で、首都ヤウンデ在住の子どもを含む仏人7人が、バイクに乗った武装勢力に誘拐されナイジェリアに連れ去られた事件(同年4月に解放)や、同年11月、コザ地区で仏人司祭が拉致された事件(同年12月に解放)はボコ・ハラムによる犯行の可能性があるとみられています。また、2014年4月には同州マルアでイタリア人司祭2人とカナダ人修道女が拉致され(2か月後に解放)、同年5月には同州の中国の建設現場が襲撃され、少なくとも10人が拉致されました。さらに、同年7月には極北州にあるカメルーン副首相の自宅が襲撃され同夫人が拉致されるなど、極北州におけるボコ・ハラムの脅威は深刻化しています。
 カメルーン政府はナイジェリアとの国境付近に軍を展開させ、ボコ・ハラム掃討作戦を行っており、同地域ではボコ・ハラムとカメルーン軍との戦闘が断続的に発生しています。2014年5月にはポール・ビヤ大統領が「ボコ・ハラムへの宣戦布告」を行いその対決姿勢を明らかにして以降、ボコ・ハラムによる襲撃は質・量ともに一層過激化しており、副首相宅襲撃事件などのように、政府・軍を対象とした襲撃も増加しています。
また、カメルーン国内には、偽造身分証明書を所持したボコ・ハラムのメンバーが相当数潜伏していると言われており、今後自爆テロ等が発生する可能性も考えられます。
 さらに、カメルーン当局もこの事態を深刻に受け止めており、8月初旬に極北州知事から「夜間における都市部主要道路の道路封鎖」が通達されました。
 ついては、極北州の危険情報を「渡航の延期をお勧めします。」から「退避を勧告します。」に引き上げます。極北州に既に滞在している方は、速やかに国外(安全な場所)に退避することを勧告します。また、同地域への渡航は、情勢が安定するまでの間いかなる目的であれ延期してください。

(2)中央アフリカ国境地帯
 :「渡航の延期をお勧めします。」(継続)
 中央アフリカ国境地帯においては、現下の中央アフリカ情勢により、多くの中央アフリカ難民がカメルーン国内に逃げ込んでいる他、侵入してくる元セレカ分子とカメルーン軍との間で戦闘が発生し死傷者が出ています。
 ついては、同地域への渡航・滞在は目的の如何を問わず、当面控えるようお勧めします。

(3)北部州、ナイジェリア国境地帯(極北州を除く)、南西州バカシ半島及びバカシ半島沖
 :「渡航の是非を検討してください。」(継続)
 ア 北部州は、ボコ・ハラムが勢力を拡大している極北州と近接しており、特に州都ガルアは、極北州との州境からわずか数十kmの地点に位置し、地形上の障害も少ないことから、ボコ・ハラム等のイスラム武装組織が容易に侵入することが可能となっています。また、ボコ・ハラムのメンバーと一般人との識別は難しく、すでに相当数のボコ・ハラムのメンバーが潜伏している可能性もあります。
 今後、北部州においても、極北州同様ボコ・ハラムによる外国人の拉致、カメルーン軍との戦闘等が発生する可能性が高まっており、拉致事件や戦闘に巻き込まれる危険性があります。
 イ 極北州、北部州以外のナイジェリア国境地帯でも、ボコ・ハラム等のイスラム武装組織のメンバーが偽造旅券を使用してカメルーン国内に侵入してくる可能性は排除できず、これらの地域への移動及び滞在には危険が伴います。
 ウ 南西州バカシ半島沖では、航海中の船舶が武装集団に襲撃され船員が誘拐される事件が多発しています。この傾向は2008年から顕著になっており、カメルーン政府は同事件に対処するため、2009年4月に同沖近くにカメルーン軍所属のBIR(緊急介入部隊)の基地を設置し、バカシ半島沖をパトロールしています。2012年以降発生件数は減少していますが、引き続き注意が必要です。
 ついては、上記地域への不要不急の渡航・滞在は控えることをお勧めします。渡航・滞在する場合には、現地の最新の治安関連情報の入手に努めるとともに、自身の安全対策に万全を期してください。

(4)その他の地域
 :「十分注意してください。」(継続)
 ア 首都ヤウンデ市やドゥアラ市では犯罪が多く発生しており、特にドゥアラ市は商業都市という性格上、雑然とした地区も多く、カメルーン国内で犯罪発生件数が最も多い地域です。ヤウンデ市内やドゥアラ市内では、現金等を狙った押し込み強盗が深夜時間帯を中心に頻繁に発生しており、また、タクシー運転手が客を装った共犯者と強盗事件を敢行する等の事件も散発しています。その他、両市には大規模な市場がありますが、スリや強盗の巣窟となっています。過去、ヤウンデ市内のモコロ市場で、日本人が強盗の被害に遭い負傷する事件や大統領府付近で散歩中の日本人がバッグをひったくられる事件が発生しています。また、ドゥアラ市では、日中の市内中心部で日本人が刃物を持った3人組から所持品すべてを強奪されるという事件が発生しています。市場をはじめ人通りの多いところでは,周囲の状況に十分気を配るとともに,多額の現金を持ち歩いたり人目を引きやすい装飾品を身に着けたりしない等の対策が必要です。
 イ バカシ半島沖で発生していた武装集団による船舶への襲撃事案は、2012年以降減少傾向にありますが、ドゥアラ港をはじめ周辺の港湾施設を訪問する際は引き続き十分注意してください。
 ウ アダマワ州では、昼夜を問わず道路封鎖強盗が出没しています。カメルーン政府はこれらの犯罪に対処するために軍内部にBIR(緊急介入部隊)を設置し、北部3州それぞれに拠点を設け、道路封鎖強盗が頻発する国境付近の幹線道路等には重点的に部隊を配置し24時間体制で監視しています。道路封鎖強盗は主に商人や家畜飼いを標的としていますが、旅行客が乗車した長距離バスや国際機関職員が乗車した車両等も被害に遭っていることから、同地方を車両で移動する際は十分な安全対策が必要です。
 エ 英語圏である北西州及び南西州は野党勢力が強い地域で、デモやストライキが発生しやすく、治安が短期間で悪化する可能性もあります。
 ついては、上記地域に渡航・滞在を予定されている方は、治安情勢に関する最新情報の入手に努め、目立つ行動は避けると共に周囲に警戒を払う等、十分に注意してください。特に、夕方から夜間にかけては各種犯罪に遭遇する可能性が高くなりますので、夜間の不要不急の外出は極力避けるようにしてください。

3.滞在に当たっての注意
 カメルーンに滞在中は、下記の事項に十分留意し、危険を避けるようにしてください。また、日本国外務省、在カメルーン日本国大使館、現地関係機関、報道等より最新情報を入手するよう努めてください。
(1)現地に3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後遅滞なく在カメルーン日本国大使館に「在留届」を提出してください。また、住所その他の届出事項に変更が生じたとき又はカメルーンを去る(一時的な旅行を除く)ときは、必ずその旨を届け出てください。なお、在留届は、在留届電子届出システム(ORRネット,http://www.ezairyu.mofa.go.jp )による登録をお勧めします。また、届出は、FAXによっても行うことができます。FAX送付の際は在カメルーン日本国大使館まで事前連絡の上、送付してください。
(2)在留届の提出義務のない3か月未満の短期滞在の方(海外旅行・出張者など)について、現地での滞在予定を登録していただけるシステムとして、2014年7月1日より、外務省海外旅行登録(「たびレジ」)の運用を開始しています(http://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )。登録者は、滞在先の最新の渡航情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざという時の緊急連絡などの受け取りが可能ですので、是非活用してください。
(3)夜間、特に徒歩での外出は控え、昼間でも複数で行動するよう心掛けてください。なお、凶器(けん銃、ナイフ等)を使用した凶悪事件が多発しているため、これらのケースに遭遇した場合、生命に危険が及ぶ可能性がありますので抵抗は避けてください。
(4)外出の際には、宝石、貴金属等は身に着けず、服装は控えめにしてください。また、現金は必要な額だけ携行し、支払の際も人前で多額の現金を見せることは避けてください。
(5)地方の幹線道路を走行している長距離乗合バスやトラックは、無理な追い越しや著しい速度超過等の危険運転をするため、交通死亡事故が多発しています。カメルーンを旅行される際には、こうした長距離乗合バスの利用はできるだけ避けてください。
(6)警察・軍当局による検問が日常至る箇所で実施されていますので、外出時には必ずパスポート又はそのコピーを常時携帯するようお勧めします。また、治安当局による検問には素直に応じてください。
(7)軍事施設,政府関連建物、空港、港湾施設では写真撮影が禁止されています。これらの場所における撮影及び撮影しているのではないかと疑われる行動は避けてください。
(8)同性愛はカメルーンの法律で禁止されています。
(9)カメルーンと国境を接するナイジェリア、チャド及び中央アフリカの情勢はいずれも不安定です。これら諸国との国境地域は、前述の内容に十分留意し、特に陸路で中央アフリカへ入国することは厳に避けてください。
(10)近年カメルーン人と名乗る者が本邦の業者に商取引を持ちかけ、架空の商談を口実として手数料等の名目で金品を騙し取る手口が横行しています。カメルーンからの商談を受けた際には、詐欺事件が頻発していることに留意しつつ、取引相手との交渉に臨んでください。

4.隣国のナイジェリア、チャド、中央アフリカ、コンゴ共和国、ガボン、赤道ギニアについての渡航情報(危険情報)にも留意してください。

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
 住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903

(外務省関係課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2306
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)3680
○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/ 
             http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)

(現地大使館連絡先)
○在カメルーン日本国大使館
 住所:1513, Rue1828, Bastos-Ekoudou, Yaounde, Cameroun
 電話:(市外局番なし)2220-6202、2220-6585
   国外からは(国番号237)2220-6202,2220-6585
 FAX:(市外局番なし)2220-6203
   国外からは(国番号237) 2220-6203
 ホームページ:http://www.cmr.emb-japan.go.jp/jp/index-jp.html