ウクライナについての渡航情報(危険情報)の発出 / 2014年7月 3日

1.概況
 ウクライナでは,2013年11月に欧州連合(EU)との連合協定署名に向けた準備プロセスが一時停止されたことに対し,首都キエフの独立広場を中心にデモ抗議活動が行われ,多数の負傷者が発生する事態となりました。
 また,暫定政府と武装勢力の対立が深まる中で,3月にロシアがクリミア自治共和国およびセバストーポリを一方的に自国に編入しました。さらに,東部のドネツク州,ハルキウ州,ルハンスク州では,武装勢力が行政庁舎等を占拠するなどデモ活動を激化させ,ドネツク州で一時「ドネツク人民共和国」樹立を宣言,ハルキフ州でも独立を宣言し,これに対しウクライナ政府が「反テロ作戦」を開始し武装勢力の排除に乗り出すなど,不安定な情勢にあります。
 こうした状況において,5月25日,大統領選挙が実施され,6月7日にポロシェンコ大統領が就任しました。同大統領は6月27日にEUとの連合協定の署名を実現し,東部の分離派武装勢力との関係では,同月20日から一時的停戦が合意されていましたが,停戦期限の30日以降停戦を延長せず,ウクライナ政府側による「反テロ作戦」が再開されています。

2.地域情勢
(1)クリミア自治共和国およびセバストーポリ:「渡航の延期をお勧めします。」(滞在中の方は事情が許す限り早期の退避を検討してください。)(継続)
 今回の政変を受けて,ロシア系住民が多く住む同国南部のクリミア自治共和国のシンフェローポリでは,ウクライナの領土の一体性を支持する住民と武装勢力の間で対立が高まり, 3月11日には,クリミア自治共和国議会及びセバストーポリ市議会が独立宣言を採択し,16日に実施された「住民投票」では95.7パーセントが賛成したとされ,独立に関する決議が採択されました。
 これらの動きを受け,ロシアはクリミアを独立国家として承認,その後,ロシアへ一方的に編入するなど,国際法に違反する情勢変化が起きています。
 こうしたロシア側の動きに対してウクライナ暫定政府は反発し,また,米国をはじめとする西側関係国も懸念を示し,ロシアによる編入を認めないとしているなど、クリミア自治共和国およびセバストーポリをめぐる状況は流動的です。
 現在,クリミア半島内においてはウクライナ政府の統治が十分行き届いておらず,渡航者が同地域で何らかの不測の事態に巻き込まれても,在ウクライナ日本国大使館による邦人援護業務は極めて困難な状況です。さらに,状況によっては今後道路や空港が完全に閉鎖されるなど,移動手段が大きく制限される可能性もあります。
 つきましては,クリミア自治共和国およびセバストーポリについて危険情報「渡航の延期をお勧めします。」(滞在中の方は事情が許す限り早期の退避を検討してください。)の発出を継続しますので,同地域への渡航に関しては、目的を問わず渡航を延期するようお勧めします。また、既に同地域に滞在している方は、報道機関関係者を含め,事情が許す限り早期の退避を検討してください。
 なお,クリミア自治共和国およびセバストーポリにおける取材について,報道各社等に向けて注意喚起を出しています。フリーの報道関係者を含め別紙(http://www.anzen.mofa.go.jp/attached2/attached_ukraine20140304.pdf )を踏まえ,クリミア自治共和国およびセバストーポリへの渡航を自粛してください。