京の今昔、一目で 地図"合成"立命大教授ネット公開 / 2012年6月 7日

京の今昔、一目で 地図"合成"立命大教授ネット公開

京都市明細図オーバーレイマップ

昭和初期から戦後にかけての京都市内の街並みを細かく記録した地図「京都市明細図」を、立命館大の矢野桂司教授(人文地理学)の研究室がデジタル化し、現代の地図に重ね合わせてインターネット上で公開している。100年近く前の街の様子と今が一目で比較でき、京都観光や街歩きに活用できるという。

 京都市明細図は1927(昭和2)年当時の市中心部の建物区画が記載されている。保険会社で作る「大日本聯(れん)合火災保険協会」が火災保険の保険料率算定のために作成した。商店1軒ごとの取扱商品が戦後に加筆されている。2010年10月に府立総合資料館で見つかった。

 縦40センチ、横55センチの厚紙286枚の明細図を矢野教授の研究室がデジタル化し、ゆがみを補正して現代の地図に重ねた。

 明細図では錦市場などの中心市街地で「乾物」「魚」など商店ごとの細かい記載があり、現在の店舗との比較が楽しめる。戦中の建物疎開で拡張される前の堀川通、五条通沿いの家並みや、戦後に占領軍が銀行支店を接収して図書館に転用するなどしていた様子も分かる。

 矢野教授は「今後は明細図にある商店の取扱商品を業種ごとに色分けできる機能を加え、街の変化を多面的に楽しめる素材にしたい」と話す。

 同資料館のホームページから見ることができる。明細図の濃淡を調整でき、現代の地図を立体の写真に切り替える機能もある。スマートフォン(多機能携帯電話)で専用のアプリケーションを使えば今いる地点の明細図を表示できる機能を今月中に加える予定。