インドネシアの航空3社、EU就航可能に 規制リストから外れる / 2016年7月 1日

 インドネシアは、地場航空大手3社が欧州連合(EU)への乗り入れが可能となる見込みだ。EUの政策執行機関の欧州委員会によると、インドネシアの格安航空会社(LCC)最大手ライオンエア、同社の通常便子会社バティック・エア、ナショナル・フラッグ・キャリアのガルーダ・インドネシア航空のLCC子会社シティリンクの3社がEUへの乗り入れ規制対象リストから外れたもようだ。現地紙ジャカルタ・グローブなどが報じた。

 インドネシアは国全体の航空安全規則が不十分とされ、2007年に全航空会社がEUへの乗り入れを禁じられた。その後、ガルーダや、アジアLCC最大手エアアジアの子会社インドネシア・エアアジアなどは乗り入れ禁止を解除され、今回の措置を受けて大手はEUへの就航がほぼ解禁となった。ただし、長距離LCCのインドネシア・エアアジアXなどおよそ50社のインドネシア勢が依然として規制対象となっている。

 今回の規制解除を受け、インドネシアの各社からは欧州委員会の決定を歓迎する声が上がっている。シティリンク幹部は「安全基準が国際的な水準に達しているという、お墨付きが得られた」と述べ、世界の国際線大手との提携も道が開けたとの考えを示した。

 ライオンエア幹部も「安全向上に注力してきた成果」と喜びをあらわにし、今後もバティック・エアを含めて安全対策を続け、改善に努めていきたいと意欲を示した。

 同社は、ここ数カ月にわたって遅延や滑走路のオーバーランなど事故が相次ぎ、運行管理面の問題を指摘されていたが、乗客の死亡に至る事故は04年を最後に発生していない。

 シティリンク幹部は、国内LCC市場でライオンエアやエアアジアとの競争が激化していると指摘し、EUへの新規就航については「当面は見合わせる」とした。中所得層の増加などでインドネシアの航空市場は成長が確実視されるなか、各社の戦略やサービスが問われる厳しい戦いが今後も続いていきそうだ。